今日は「お茶碗」についてのノートです。
茶道に用いられるお茶碗は、茶道の道具で最も欠かせないもので「抹茶碗」とも呼ばれます。室町時代以降の茶道の発展とともに、全国各地で様々なお茶用の茶碗が造られるようになりました。お茶室ではその時の趣向や季節に応じたものが用意されます。例えば年始には、その年の干支の模様をあしらった可愛らしいものが登場します。新しい年を無事に迎え、お抹茶を変わりなくいただける幸せをその時に改めて感じるのです。
抹茶碗の種類と格
形状の種類は、大きく3種あります。飲み口に向かって広がる鉢型の「井戸茶碗」、全体的にフォルムが真っ直ぐ伸びており口が狭い「筒茶碗」、口が大きく開いている「平茶碗」となります。ざっくりですが、スタンダードな形状が井戸茶碗で、冬に多く持ち入れられる冷めにくい筒茶碗、夏に涼しさを演出する平茶碗、というイメージです。
そして、格については京都府の楽焼、山口県の萩焼、佐賀県の唐津焼の順に高いとされています。これを表す言葉として「一楽、二萩、三唐津」というものがあります。
大切にしたいのは、おもてなしの心
前述の通り、抹茶碗には格があることをお伝えしました。ただ、本来はお茶をお出しする亭主やいただく側である客の精神性を大切にするのが茶道の文化とされています。究極の「素敵なお茶の時間」を追求するのであれば、日常使いのお茶碗や代替え品を使いつつ、おもてなしの心を凝縮した一杯のお茶をお出しすることが大切な気もしますよね。
100均のお茶碗で点てるお茶
「素敵なお茶の時間」というのを私なりに再現する・・・というのは少々大袈裟な表現ですが、先日この言葉に関連する出来事がありました。自宅でお稽古の練習をしていた際に何となく後ろを見ると、息子がお茶を点てる筆者の仕草を真似て遊んでいました。彼はこちらを見て「僕にもお茶ちょうだい」と言うので、筆者はかなり嬉しくなってしまいました。彼が喜ぶ飲みやすい最高の一杯を・・・と恥ずかしながら張り切り、色々と思案しました。折角茶道に興味を持ってくれたのだから、やはり良いお茶碗で出そうかな・・・とも考えました。ですが、最終的には「この子が美味しいと笑ってくれたらそれでいいや」と思い、100均で買った彼のお気に入りのご飯茶碗を用意し、かなりうすいお味の抹茶を注いでお出ししました(笑)母に気を遣っての一言かも知れませんが、「にがい!でも、なんかちょっとだけおいしいよ」と笑ってくれていました。完全に自己満足ではありますが、ここ最近で最もあたたかい気持ちになる一服を”お客”にお出しできた気がしました。お茶ってもしかしたら、こういうことなのかも知れません。