今日は「服紗(帛紗)」についてのノートです。
服紗(帛紗)は、お茶のお手前の中で使用する赤や朱色の布・・・とお伝えするとイメージしていただけるでしょうか。お手前の中では、お客に出すお道具を清めるという所作があります。この時に服紗(帛紗)を用いて、お茶入れやお茶杓をキレイにするのです。ちょっと違いますが、バーテンダーが真っ白な布でかなりキレイに磨き上げたグラスに最高の一杯を注ぎますよね(私のバーテンダーさんの究極のイメージ)あのように飲む瞬間を全力でおもてなしする際に使うのが服紗(帛紗)です。
服紗・帛紗・袱紗?
茶道では、「ふくさ」を「服紗」や「帛紗」と表記し、「袱紗」は使いません。
性別・流派に応じて使用する色が異なり、重さや素材も様々です。
服紗・帛紗(ふくさ)の使い方
前述の通り、服紗(帛紗)はお手前の中で一定の畳み方をし、道具を清める意味で丁寧に”拭く”ような作業をします。軽々しい言い回しで恐縮ですが、お手前の中では割と”見せ場”にあたる部分です。ですので、より自分の手にあった物やお稽古場で指定されている物を用意します。
服紗捌き(ふくささばき)がその日の心を表す
”拭く”ような作業をする少し前に、服紗(帛紗)を広げてから、「パンッ」と音を鳴らす所作があります。その工程までの動き、手の位置、角度がしっかり決まっていないと、そこで良い音を鳴らすことができません。服紗(帛紗)についたチリを払う意味で行うこの動きですが、お手前の静寂な時間を一度引き締める役割もあるように感じます。その日の心がしっかり定まっていないと・・・集中していないと・・・綺麗で美しい音を発せないのです。この動きのたびに、中途半端な「パン」と言う音を聞き、自身の未熟さを感じます(でも、お手前の練習自体はとっても楽しいですよ☺️)
込められた想い、寸法の意味
服紗(帛紗)の大きさは「八寸八分の九寸余」(縦約28.5cm、横約27.5cm)とされており、完全な正方形ではないことが特徴です。なぜこの寸法になったのかと言うと、先人の数字に対する考え方が影響しているようです。言霊と同じように、昔の人々は数字に力があると信じていました。奇数は『陽』、おめでたい力のある数字。偶数は『陰』、陽に準じる数字。つまり『九』という数字は、陽の極まる数字と捉えられていたのです。少し捻くれた表現をしてしまうと、このような”布”一枚においてもここまでこだわるなんて・・・と思いませんか?知れば知るほど、お道具を大切に扱おうと思う日々です。