茶筌 茶道

茶筅のこと 〜茶筅はサスティナブルな一品〜

茶筅のこと

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今日は茶筅(ちゃせん)についてのノートです。

茶筌とは、お抹茶を点てるために使用する茶道具の一つ。

お湯を注いだお茶碗に入れ、お抹茶とお湯を満遍なく攪拌する・・・

あの”しゃかしゃか”するシーンを想像していただければイメージが湧くと思います。

筆者はあの音が大好きです。

亭主がお客に対して、「美味しいお茶をいただいて欲しい」と願う気持ちが凝縮されているような気がするからです。

今回はこの茶筅について、気づきをまとめていきます。

流派により異なる茶筅

茶筌は竹製のものが殆どですが、使用する竹の種類や色が格派により異なります。

茶道は、お茶に対する考え方や点て方が流派により少しずつ異なるのですが、それらに応じた物を先人が選択してきたため、この違いが生じていると筆者は理解しています。

(例えば、裏千家ではお抹茶の泡はしっかり立てますが、表千家では控えめに立てます。こういった習慣にフィットする道具を歴史の中で先人たちが選んできたのかな・・・と感じています。)

流派ごとの茶筅の違い

各流派で使われる茶筌の竹の種類は以下の通りとなります。

表千家

煤竹(家材として使われていた竹に囲炉裏の煤が付くことで黒くなった竹。家の建て替え時に廃材を再利用するため茶筌として活用)

裏千家・藪之内流・石州流・遠州流裏千家

白竹(竹を白く晒し上げて、1年以上自然乾燥させたもの

武者小路千家・山田宗徧流

黒竹(特別な加工はせず、2年程度置いておき、自然に黒くなったもの)

茶筌の種類

”もの”に対する敬意、「茶筅供養」

この茶筌ですが、毎年12月に各地で「茶筌供養」というものが行われます。

お茶の世界ではこのお道具がないとお茶を点てることできないため、茶筅を非常に重要なものとして捉えています。”無生物”ではありますが、使用済みの茶筌を集め、供養の儀式を執り行うのが習わしとされています。お茶碗やお茶杓といった代々受け継がれるものがある一方で、茶筌は消耗品。その消耗品であるお道具にも想いを馳せ、役目を全うさせる・・・その習慣と先人たちが培った心根のあたたかさに感動します。

サスティナブルだったものが、現代では贅沢品に

さて、前述の通り表千家では煤竹の茶筌を使うことになります。元々は廃材再利用という非常にサスティナブルな考えのもと、煤竹の茶筅をチョイスしていました。ただ、竹で造られた家や囲炉裏を見かけることの方が珍しい現代においては、かなりの贅沢品になってきているのが実情では無いでしょうか。煤竹に限らず、竹自体が原材料として希少なものになってきていることに変わりはありません。根底にある、”もの”を敬う心を大切にし、茶道の世界が柔軟に進化していくといいなあと感じています。50年後、100年後は全く違った素材の茶筅を用い、私たちはお茶を点てているかも知れません。

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